ねこを見送った話

2月24日に飼い猫を見送った。リンパ腫を患っていて15歳だった。私が高校1年生の頃に、母が道端で拾ってきた子でまだ目も開いていない生まれたばかりの仔猫だった。母としては、体も弱っていたし最後にご飯くらい食べさせてあげたいと思って家に連れ帰ったらしい。だから名前もとりあえずの感じで ちび と呼んでいたけど、思いの外そのままとても元気になり名前に似つかわしくなくすごく大きな子に育った。お医者さん曰く、骨格が大きいのもあるそう。

突然うちに来たことに昭和の父親は怒り喚いてたけど、もともと猫好きだったらしく飼いだしてからは性格がだいぶ丸くなったし、ちびは私にとっても愛しい存在だ。私は20で家を出たから離れて暮らした時間の方が長かったけど、いつもソッと側に来てくれて覚えてくれてたように思う。冷たくて気持ちいいのか私の足を枕にして寝るのが好きな子だったなあ。

「あの時、連れ帰ってきて正解だったのかな、チビは幸せだったのかな」と母は言うがこんな可愛い顔していつもお腹を見せてくれてたのだから正解だとおもう。

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母から連絡をもらったのは24日のお昼で、翌日25日に帰省する予定だった。正直、母からLINE通知があった時点で「間に合わなかった」と思った。2月の初め頃に様子を見に帰った時と、その後の母からの連絡でもう長くはないことわかっていたから。食いしん坊のちびが好きなおやつを口元に持ってきても全然食べてくれなかったから。多少、足を引きづってたけど年末年始は元気に見えたんだけどなあ。定時まで仕事をしてそのまま急いで地元に帰った。

22時前に家に着くと、箱の中のクッションの上にちびが足を真っ直ぐにして横たわっていた。とても冷たく硬かったけど、少し長い毛は変わらず柔らかった。母がシャンプーしてくれていて良い匂いがした。頭を撫でられることが好きな子だったから、いつもするように頭を撫でようとしたら耳が固まっていて引っかかってしまい、うまく撫でれなくてそうか死んじゃったのかとその時に実感した。

母が箱から出してくれて、周りにカサブランカを置いてくれたので写真を数枚撮った。水色のリボンが首に巻かれていて、ハート型の木製チャームには名前と実家の電話番号が書かれていた。ちびがどこに帰れば良いのか分かるように、だそうだ。最後の数週間はほとんど水のみで何も食べなかったので、とても痩せ細っていた。手足こんなに長かったのかと、なるほど確かに骨格がしっかりしている子だなあと思った。

31にもなると親の前で泣きたくなくて、母親と目を合わさないように買ってきてくれたお弁当に「ご飯が少ない」と文句を言って追加で食べ物出してもらって一生懸命食べることに徹して堪えた。頷くぐらいしかできなかったから、口に物を入れてたかった。それはそれで子どもだと思うが。

ご飯を食べた後は落ち着いて、母親がちびの写真を飾りたいと言うので今まで撮った写真を見せながら話した。それから2人で可愛い骨壷やカプセルケースをスマホで探したり。翌朝10時に葬儀屋さんが来ると聞いて、当日22時と勘違いして何も用意ないまま職場から直行したわけだけど、2人でちびを想う静かな時間をゆっくり持てたので良かったと思う。それから同じ部屋で最後に一緒に眠れたしね。深夜1時過ぎ、「お通夜だから寝ない」と言っていた母がゆっくり寝落ちて何故か私はピザポテト1袋を開けて食べ切った…よく覚えてないけど猫の夢を見た気はしている。

 

翌朝10時に葬儀屋さんがきた。別で暮らしている父親と兄もきた。

一晩経ってだいぶ硬直が取れて、ちびにおはようと言っていつも撫でるように頭をガシガシ撫でた。ちびの耳が好き。大きくて薄くてピンと真っ直ぐに立って、触るといつでもヒンヤリしててベルベットみたいな滑らかさがあって。頭を撫でて耳をすこし引っ張るように撫でるといつも目を細めて顔を上げてくれるので、そのまま顎をガシガシしてお腹あたりまで下がってくと横にバタンを倒れてお腹だしてゴロゴロ言ってくれたなあ。

この日は風の強い日だったから、ちびの周りに飾った花があっち向いてしまうのを母親はずっとずっと何度も何度も綺麗な向きになるように直していた。私はもう落ち着いていて、その姿ばかり覚えている。それから暗い暗い焼却炉の中にいってしまった。いま思い出してもその瞬間はとても悲しい。

骨になった姿は私は見なかった。あとで小さくてコロコロした可愛い尻尾の骨をもらった。ちびが横になりながら尻尾をゆっくり上下に動かしているときに、サッとその下に自分の手を置いて尻尾があたるのが好きだった。あの可愛い尻尾だね。

自宅では飾り棚を設けて毎日見守ってもらっている。これはちょっと前の写真だけど、キッチンからも見える位置に置いた。カプセルに入りきらなかった分もあるのでお骨をまぜたリング作ってもらおうかなとおもっている。

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ちびは目が大きくてじじ猫になってもずっとベビーフェイスで可愛い子だったけど、性格はおっとりしてたな。よく人を見てる子だと思う。抱っこ嫌いだったし、私のことは弟のように思ってる感じで膝にも乗らなかったけど、最後の方は私がこたつにいると近くにきて何も言わずこちらの顔を見て、私が「おいで」と膝を叩きながら言うとすごすごと膝に乗ってしばらくじっとしていた。たくさん撫でた。少しでも愛されてることが伝わってくれたらと思った。

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ありがとうね。

学生のときは何本もイヤホンを食いちぎられたし朝早く起こされたり課題制作の邪魔もされたりしたけど、顔に怪我して人前に出れる状態じゃなかったから1ヵ月ほど休学してるとき、ずっと家に1人でいたけどちびがいたから寂しくなかったしベランダで隣に並んで外を見てたよね。兄にも姉にもシャー!と言うのに笑 時々、帰ってくる私のことは素っ気なくてもいつも穏やかに迎えてくれてありがとうね。

 

ずっとかわいい かわいいよ〜

私はずっとちびの体に顔を埋めたときの、柔らかさと温かさといい匂いを忘れないように生きる!

 

承認欲求ツアーの話

せっかくのGW、ずっと途中書きのまま下書きに眠っていた記事をアップしよう。

 

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2019.11.24編集

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2019.11.21
SID Tour 2019『承認欲求』ファイナル
at 東京国際フォーラム

行ってきたゾ!

まだ先に振替公演が控えているけど、いちおファイナルということで自分の記録用に今ツアーの感想をば残しときます。

 

9/13の松戸公演から始まって、今回は7公演参加した。なかなか行ってるな、それでも足りないくらいだけど…

松戸2dayは承認欲求の世界感をお互い擦り合わせていくような感じがあった(ファンとしてはこの様子を伺う最初の感じも楽しい)次に参加した9/23の群馬公演ではすでに今ツアーのライブが出来ていた。何となく「ア、この方向でいくんだ」と思った覚えがある。初日の松戸では本編セットリスト後半にあった『MUSIC』を前半に持ってくだけでも盛り上がりが全然違うなあ。

次に参加した11/2.3 名古屋公演2dayでは、前回からひと月ほど空いていたこともあり、すっかりこのツアーの見所、盛り上り所を感じた。(『ポジティブの魔法』の演奏中でのふざけも含め笑)

そしてツアーファイナルでは改めて初日のように、承認欲求ツアーのメッセージ性と世界観を十分に楽しめた。音数を減らしてシンプルな良さをだした今回のアルバム。久しぶりのホールツアーだからこそ、その良さがじっくり聴けたと思う。「足す」ではなく「引き」で生まれる余白とか、余韻とかが心地良いのは技術や経験あってこその計算や度胸なのだと思う。

昨年から今年前半までライブハウスが続いてから、こうしてしっかりしたステージセットと演出、衣装で見るとやっぱりメンバー各々にとても華やかさがあった。シドってライブバンドだけどやっぱりホールが似合う。

今ツアーで一番新鮮だったのは、やっぱり今までになかった演出だろうな。

アルバムのリード曲「承認欲求」に添ったメッセージは曲の前後に、演奏中には歌詞が曲に合わせた動きを持って紗幕や舞台セットに大胆に投影されていた。

本編1曲目「承認欲求」と本編ラストの「涙雨」ではメンバーと観客との間に紗幕1枚隔てての演奏、これも今までになかった。一曲目では淡々としていたシルエットと音が、ラストでは激しく感情的に揺れ動いているのも印象的だった。

 

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2020.05.05追記

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このツアーファイナルで発表された「star forest」公演は、延期されることになった。2020.5.9と10、発表された日からはすごく先に感じられたけどもう今週末に迫っている。早いなあ、振替日はまだ未定だけれど先の約束があるのは嬉しい。もちろん両日行くつもり。

「承認欲求」ツアーの話に戻ると、メインとなるアルバム曲はホールならではのきっちりとした演出とステージと、それ以外のところではライブハウスさながらの熱狂とごちゃっと感の差が楽しかったツアーだったなあと。ステージ降りてきたりメンバー同士のわちゃっと感も多かったあ。可愛い!

どこかのインタビューでボーカルのマオが、「小さい会場が続くと大きい会場でライブがしたくなるし、その後にはまた小さい会場で…そうやって離れたり近くなったりを繰り返してきた」て話してたこと覚えていて、ほんとそうだなあって。そうやって繰り返して、広かろうが狭かろうがまた同じ空間に集まるのだ。会場に限らず、そんな距離感でずっと続いていくと思っている。

今月も引き続き、家にこもってますしリモートワーク。何だかんだ職場で仕事したい!寂しい!ってなるのかなと思ったけど、在宅だと出来ない些細な作業を不便に思うだけで全然だなあ。(いいのだろうか)

実家の猫にはあいたい

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SID15thグランドファイナルとその未来の話

2018.3.10(sun)

SID 15th Anniversary GRAND FINAL at 横浜アリーナ ~その未来へ~

とても楽しみにしていたライブに行ってきました。横アリー!!

昨年に開催された「いちばん好きな場所 2018」tourのツアーファイナルな位置付けだと思っていたけれど、15周年を迎えて元旦からライブ三昧だった昨年1年の総まとめでもあり、この大舞台も通過点なんだとずっと先の未来にも繋げてくれるようなライブでした。

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開演するとステージ後ろの大型スクリーン(舞台幅近くまで伸びるほど!)に、飛空艇のアニメーション。2019年から結成した2003年までタイムスリップして、また2011年に戻っていくと着陸するかのようにメンバーが登場。

2011年の3月、6thアルバム「dead stock」ツアーにて同じく横アリで初舞台を踏む予定が震災で中止になったまま、8年の月日が流れて今回のリベンジ。15周年に加えて、その意味もこの日のステージに強く思いが込められていた。

 「最初は4人だけだったシドという小さな船が、気づいたら大きくなって沢山の人を乗せて遠くまで来た」

ボーカルのマオがいつかに言っていたことを思い出し、飛空艇がこのライブのコンセプトになっていることを(勝手に個人的な解釈で)直ぐに納得した。映像美のRPGのような世界観も、キャッチーでいて様々な景色を見せてくれるシドの楽曲にもぴったりだと思う。

舞台セットもアンティークな歯車や時計の文字盤がモチーフになっていて、少しスチームパンクを思わせる。衣装もその世界観でつくられていてすごく凝っていた。ディティール違いでしっかりと物語が統一された衣装。ファンタジーとロックが合わさった感じだった。(いい年なのに浮くことなくバッチリ似合っている当のメンバー4人も凄すぎる!)今回のライブでしか見られないなんて勿体ないなア。

 

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1曲目は「NOLDK」

8年前、この場所で1曲目に演奏する予定だった曲。久しぶりの大きいステージ、沢山の客席を見渡す顔がほんとに輝いていた。「何年かかったでしょうか」と言う、ギターのShinjiの言葉に少し驚いてしまった。そうか8年は、長い。キャパ的にはきっと問題なくて、本当に機会が掴めそうで掴めなかったんだろうな。

2曲目からは、先日の「Preview」と銘打った赤坂公演のセットリストに近く、間に意外な曲も挟んでくる感じだった。

「ANNIVERSARY」「V.I.P」とライブ定番2曲は、ほんとにシドのパワーと華やかさを分かりやすく伝えてくれる。次に「cosmetic」「KILL TIME」「罠」と、打って変わって大人で都会的な曲が3曲続く。こういった曲もシドの得意とするところなんだろうなあ。あくまでもファッション的な遊びの色気がある。何より聴くのが楽しい。それから「モノクロのキス」「嘘」とタイアップ曲2曲。相も変わらず「嘘」のギターソロが好き!

少し間を置いて、冬のナンバー3曲から切ない春の1曲に続く。このあたりは映像とも曲をすごくリンクさせてたな。背後のスクリーンには真っ白な雪景色を淡々と進む飛空艇、実際の舞台にはスモークが立ち始める。薄暗い中、白が優しく光って舞台を満たしてく。その中で佇む4人が本当に1枚の絵になってた…感動。

見惚れていたところで、まさかの「ホソイコエ」が始まる。出だしの音で私含めた観客が思わず小さな悲鳴をあげて直ぐにジッと聴き入るのだ、みんな同じ気持ちなんだなァ。。ほんと何度も言葉にしても足らないくらい良い曲。ライブで聴くと一層、強く思う。昨年のツアーでも聴けた時に、「春が来たら〜」という歌詞に今回の横アリを重ねて楽しみにしていたから聴けて嬉しかった!それから変わって次の「2℃目の彼女」は雪景色をパノラマで映すようなスカッと開けた曲、いつぶりか分からないくらいに聴けた!アウトロがすごく好きな曲で、眠る前とか不意に流れてくる。「スノウ」は、切ないけどちょっとお洒落な曲。女声ばりに高い、マオのしんなりした歌がよーく響いてた。

それから春を迎えて「ハナビラ」。桜の花弁が舞う映像には、歌詞もストーリーに寄せた動きを持って取り入れられてた。それが凄く良くて、曲も歌詞もすごく好きな1曲だから見入ってしまった。個人的に演出も含めて、この冬から春にかけてのターンが1番グッときたな。

「ハナビラ」の最後のロングトーンから間を置いて、それまで綺麗な景色を写してた映像がバグるように乱れだすと「Are You Ready?」と謳い後半戦。「dummy」「隣人」「プロポーズ」「眩暈」と激しい曲が続く。シドのライブはいつも徐々にダウンしてからの急上昇(笑)「眩暈」では炎も立ち上がってた。この時ばかりは、ライブハウスツアーのノリで破茶滅茶で楽しかった!あっという間に本編が終わって、メンバーがステージを後にすると、映像も燃え尽きたようにモノクロの街並み(廃墟?)に変わった。

 

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ENは「空の便箋、空への手紙」「君色の朝」「循環」「Dear Tokyo」「one way」「その未来へ」。

「空空」でまた小さい悲鳴おきた。この曲ってライブで聴くとほんと生々しくてヒリヒリする。

「君色の朝」は、この日のために制作と披露された新曲。未だリリースするかとか決まってなくて、ほんと、この日の為に。一番のサプライズだと思った。淡々と語って、サビでぱっと見上げるような曲だった。柔らかく暖かった。聴き取れてるか分からないけど「流した汗に裏切られたこともある」って歌ってて、その先に続くのはもちろん前向きな言葉でもう気持ちがいっぱいいっぱい。はやくまた聴きたいな。

メンバーコールからの「循環」(大好き!)からの、無条件でテンションあがるいつもの2曲!ただただ楽しかった。映るメンバーの顔も本当に良い顔で。なんと言われようと!この4人以上にカッコよくて胸をときめかせる人、今のところ未だ知らないや。

最後は公演名にもなってる「その未来へ」。この曲ってリリース当初から、こんな風にスポットを当てる予定の曲だったのかな。個人的には、「いちばん好きな場所」ツアーを通してどんどん意味を含み始めたように思う。今までになかった合唱も、あえて小さなライブハウスで行なった怒涛の31公演や、久しぶりの海外公演を経て今までになくメンバーとファンの距離が縮まったからこそ浮くことなく馴染んでたよう思うのダ!15周年を迎えてそんな感じって、それ以上に嬉しいことってないよ。

みんなで歌って、歌詞が書かれたハートのカードが舞ってきて、みんな優しい顔してて、ここだけ切り離された別世界だなって思った。

 

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最後に、マオはシドも自身のことも「不安定じゃん、」って思わず声を詰まらせ涙した場面もあったけど「不安定」だなんて思ったこと一度もない。私にとってシドは出会った10代の頃からずっと確固たる存在で先にいて「未来」なんだよ。そこへ向けて、頑張ったり期待したり耐えたりしてきた。上京してから数年間は遠のいたりもしたけど、たまに目を向けるとやっぱり変わらず輝いてて、憧れの気持ちでいっぱいになった。もういいやって思ったことは一度もなくて、いつも後ろ髪引かれる思いになった。

もちろん他にも大好きで魅力的なアーティストや曲は沢山あるから、1番とかそんな優劣をつけたい訳じゃなく「自身」と直結してるのがシドなんだなって最近思うのだ。そしてバンドという不安定な存在にそう思わせて、でも大丈夫だって過信でもなく思えるシドは凄いバンドなのだ!だから、20周年も25周年も30周年も、その先もずっと見てたいな。私自身と向き合いながら。おかげさまでタフに20代も後半を迎えれたから、これからは少しは頼ってくれよなって気持ちもあるよ。や、てか愛に溢れまくってない?引くわ。そんなパワー普段ないやん、わたし。わろた。

 

急速にまとめると良いライブでした。

大きなグランドファイナルだったけど、MCのゆるい空気はいつもと変わらなかったし、EN後の衣装がスルー出来ない程に、バラッバラだったのは謎過ぎてメンバーもファンも同じく笑ったし、これもまた「まだ夢の途中」なんだねって思ったよ。ありがとう。

 

おしまい!

早くも来月からツアーじゃホイ!


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広島を観光した話

 

2018.10.29

 

autumn91.hatenablog.com

ライブをみに遠征した翌日、せっかくなので広島観光をしました。広島県立美術館と隣接する縮景園に行きました。電車の乗り継ぎの仕方が分からず、数駅分を歩いた。全然歩ける距離でした。

お目当の展覧会はブリューゲル展。

ブリューゲル展

近代的なつくりの広島県立美術館。企画展受付がある3階に上がると、縮景園側にあたる壁はガラス張りになっていて、庭園がツーっと見渡せました。爽快。真っ白でとても綺麗な館内でしたけど、平日の昼間で、自分の足音が響く程ひと気のない美術館に一人で居ると何とも言えない気持ちになりますね。

お目当のブリューゲル展は、バベルの塔や、奇妙な生物が描かれた版画で有名な「ピーテル・ブリューゲル1世」から始まって、彼の息子に孫、ひ孫と続く一族を辿った展覧会でした。(調べたら、今年の年明けから春まで都内で開催してたみたい)

息子の「ピーテル2世」(兄)「ヤン1世」(弟)が対照的な兄弟だったのが、面白かった。父の作品を愛し、ちょっと強烈なほど忠実に模写を描き続ける兄と、父の影響を受けながらも、花や果物など優雅な自分の作品を描いた弟。

印象的だったのは、ヤン1世の緻密に描かれた風景画の作品群。特に「水浴をする人たちがいる川の風景」はSMサイズ程なのに、ずっと遠くまで見通せるような奥行きがありました。ミクロな入口でマクロな世界を感じるのが好きなんですよね。まあ細かいのが好き。

あとは昨年のバベル展で観て惹かれた、武装船を描いた版画作品と再会できたのが嬉しかったです。ほんと映画館に行く感覚でいつも美術館に行くけど、ちゃんと覚えているものだね。

それと、ひ孫にあたるヤン・ファン・ケッセル1世の作品。

 すんごいお洒落。ハイブランドの内装にありそうだなって思いました。見応えがあった展覧会でした。ア、遠征で行った先々の県美を巡るのも面白そうだなあ。

そんで、隣の縮景園に行きました。縮景園という名前が箱庭的でもう素敵。ババンと写真をば。

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f:id:autumn91:20181112225906j:plain歴史ある庭園越しにみるビル。その後ろに快晴の空、、気持ちよかったー。

 f:id:autumn91:20181112230505j:plainごろごろの石段を降りると竹林。足場が悪く、厚底ブーツでは滑りそうでヒイヒイ言いながら降りました。

 f:id:autumn91:20181112225854j:plainどん引くほどの鯉も写真になると風情が感じられる不思議。鯉は肉も食むと聞いたことがあるので、震え上がりながら撮りました。嫌いなヤツをここに…とか思っちゃダメ、絶対。

 f:id:autumn91:20181112230509j:plainよく見ると、猫が日向ぼっこしてたの。お腹出しながらゴロゴロと。人馴れして居るのでは?と容易に近づいたけど逃げられちゃったのでした。

f:id:autumn91:20181112230517j:plainネコチャン、、、

 前日の記念公園でもそうだけど、海外のお客さんが本当に多かった。前日のお好み屋さんでも、私と同じカウンター席で食事していた海外カップルが気さくにソースを手渡してくれた。

この日も、スペインの方っぽい熟年夫婦の奥さんと目があった時に「あれ、見なよ」な雰囲気で、池を指差してたので何か泳いでるのかと近寄ったけど特に何もなく、「??」って振り返ったら本人すでに興味を無くしてて更に「???」となって無言でその場を去った。普段から話かけられることが多い。

 縮景園を出た後は他にも行ってみたい観光地やお店などあったけれど、やっぱり前日のライブの余韻が抜けなかった。終始ボウっとしていたので、「これじゃ、何も頭に入らんな」と思いそのまま空港へ。搭乗までの数時間は本読んだり、ブログの下書きなどして広島を離れました。

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思い出にブリューゲル展のキーホルダー。

 

広島の街は、路面電車が走っているから広い道路が真っ直ぐにずーーっと先まで伸びていて、その両脇を縦にも横にも大きな建物がドドと並んでて、その上に道路と同じくずーーーっと先まで空が見えてて何て言えばいいのか、ジオラマの中にいるみたいだなあって思いました。

あと、散歩してるワンコもカープのユニフォーム着てる。二度見しちゃった。楽しかった二日間でした。

おしまい

 

 

広島にライブみに遠征した話

2018.10.28

 

学生の頃から好きなバンドのライブを観に、初めて広島に行きました。なんで広島かと言うと、縁あってチケットが入手できたから。それだけだったけど広島はいい街だったなあって帰宅して思う。

 

早朝に何とか起きて、飛行機に乗り、お昼頃に空港到着。そのまま広島駅行きのバスに揺られること約45分。山を降りて行っているようで、車窓からずっと先まで紅葉混じりの樹々が見えて綺麗でした。良い天気。そして、バスの運転手さん同士の会話のなかに「〜じゃけえ」を聴いて、感じる広島。

 

駅に着いて先ずは、広島のご当地グルメ尾道ラーメン」を食べに行きました。

お店は「尾道ラーメン 三公」で、餃子セットを注文。(実はライスもある)

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…食べ過ぎました。美味しかったです。

 

それから、初の路面電車に乗って街並みをボーっと楽しみつつ平和記念公園に行きました。学生の時に、修学旅行で行くことが多いのかな。私は初めて訪れました。

散歩がてら1時間ほど見て回ると、園内は思っていたよりも広く綺麗で、すごくこまめに手入れをされているように感じました。

確かに生きて生活をしていた沢山の命の記録としても、想像もつかない恐ろしいことがあった事実の証拠としても、この先、二度と同じようなことがあってはならない決意表明としても、ずっと先に繋げていくための場としても、大事されている大事にしなくてはいけない、特別な場所なのだと感じました。

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 柵越しに見た原爆ドームの中には少しだけ緑が茂っていました。良い天気でしょう。

 

 

そして、チェックインをしてライブへ。

SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 「いちばん好きな場所 2018」@広島クラブクアトロ

長年好きなバンドではありますが、地方まで回り出したのは昨年のアルバムツアーから。なので、今回の広島公演でやっとお客さんの地域性があるのを感じました。面白い!これも遠征の1つの楽しみかもしれない。と、都会顔して言っとるけど私も地方生まれ地方育ち。

 ライブの方は、相変わらず凄く楽しかったです。ステージが高く見やすかったのも良かった。

 今年は今までで一番にライブに行けているから、楽しいのは常でそれ以上に限られた特別な時間を過ごしていることを最近よく感じる。行けば行くほど、時間が限られてることを身を以って実感する。だから特別で感動するのだけど。

この日のライブは、待ち望んで楽しみしていた気持ちや上がりきった自分のテンションよりも、歌に演奏にメンバーの動きや表情が先にあってグイグイ連れてってもらっているようでした。だからハッと我に返り、妙に照れ臭くなったり。

眩しく、あっという間で楽しかった。

 

31公演中22公演目にして、今ツアー初でセットリストに組まれた「刺と猫」と「ホソイコエ」。そういうタイミングの場に居れるのはやっぱ嬉しい。

「刺と猫」は、リリース自体は初期の頃でもう10年以上前だけど、15周年を迎えて熟れた今のメンバーにしっくりきていて、ちょっとだらしなく肩の力を落とした余裕や遊びが感じる色気ある演奏や歌に、いちいちドキドキしてしまいまままs。

ライブで聴くのが好きな1曲です。私自身も10代の頃以上に、この曲が楽しめるようになったなあ。

「ホソイコエ」も10年以上前の曲!全然、懐かしいと思わない。

この曲は個人的に、曲と歌詞がすんごくマッチしていると思っています。これ以上ないくらい!遠距離恋愛の歌詞でね、冷える冬に、だんだん遠くなる二人の距離、それでも春が来たら…ってそんな期待と感じ始めてる諦め、特に歌詞に出てくる「許せなかった」の対象が移ろうのがとても切ない。でも冬の澄んだ空気を感じる、とんでもなく綺麗なバラード。ライブで聴くと大サビ前の迫力がすごいんだあ。聴けてよかった。

 この後に、何度も背中を押された底抜けに明るい「smile」と「エール」が続くから憎い。ラストは、今回のツアータイトルにもなっている「いちばん好きな場所」。

この曲はこのツアーで最後に演る曲と決まっているから、これでお別れでメンバーもファンも各々の帰路につくのです。それでまた、この場所に集まろうねって。

バラードだけど、少し懐かしく優しい曲だけど、次の約束をくれて寂しさよりも前に開けた気持ちにさせてくれる曲。今回のツアー本当に楽しかったなと思いながら聴きました。

 

これにて、グランドファイナルがある来春までお預け。春が来たら。お疲れ様でした!

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帰り道は路面電車を乗り間違えて20分くらい歩く羽目に。ライブTシャツ1枚で寒い思いをしながらも、上機嫌でホテルへ帰りました。

そしてまた食べる、次はお好み焼き。粉物大好きなので楽しみにしていました。

「八誠」にて「八誠スペシャル(ハーフ)」と「牛すじポン酢」食す。

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ハーフの大きさにギョッとして食べきれるかなと思いましたが、めちゃくちゃ美味しくて一人嬉々として食べきりお酒も飲んで更に上機嫌でした。ご馳走さまでした。

牛すじポン酢は、酒飲みの友達に食べさせてあげたい!って一口食べてすぐに思いました。こちらも凄く美味しかったです。ホテルの徒歩圏内に良いお店があって良かった。

 

凄く長くなってしまった。二日目は広島観光した話。そのうちに。